第46回 熱帯雨林のそばで放牧?NSWグロスター訪問記(上)

自然が豊かで国立公園が多く、夏休みには親子連れで賑わうニューサウスウェールズ州北部。シドニーから車で北に約3時間、熱帯雨林の広がる世界遺産「バーリントン・トップス国立公園」と、同公園に近いグロスター(Gloucester)を年末年始に訪れた。

バーリントン・トップスはトレッキングコースやキャンプ場、遊泳のできる川が複数ある。シドニーから日帰りでも楽しめるほか、長期のキャンプ滞在もできる。難易度の高いコースもあり、オージーに人気のあるパプアニューギニアのトレッキングコース「ココダ・トレイル」制覇に向けたトレーニングに使われることもあるそうだ。

キャンプが苦手な人は、公園の東に位置し最も近い町グロスター、または公園の南に位置するダンゴグにある各宿泊施設を利用するのも手。グロスターに3泊し、バーリントン・トップスには車で通うことにした。

グロスターに入ると、「ようこそグロスターへ、ある会社(a company)が作った町」と書かれた小さな標識があったが、これは1824年に英国で設立されたオーストラリアン・アグリカルチャー・カンパニー(AAC)のこと。オーストラリアは英国植民地時代、開拓を奨励するために、ポートスティーブンスからマニングリバーまでの100万ヘクタール(!)の広大な土地の使用権と、流刑者の労働力を提供することを決め、AACがこれを取得。AACは1826年初頭にポートスティーブンスに本部を設置し、グロスターに到着したのが1826年11月だ。周辺が放牧や農業に適していたことから順調に開墾が進み、1855年にグロスターが誕生した。1866年当時の人口は30人で、1913年に900人に増加。現在の自治体の広さは3,000平方キロメートルで、人口は5,000人。このうち2,600人が町の中心部に住んでいる。

グロスターの主要産業は農業で、畜産業や酪農業など伝統的に放牧が盛んだ。近年では水産養殖業やオリーブ栽培、ワイナリー、ナッツ栽培などの小規模農家が増えてきた。グロスターで特徴的なのは、観光地に近い立地で、農業観光が進んでいること。農場滞在やグルメツアーなどの看板が目に入る。農家にとっても、本業以外の収益が得られる良い機会だ。

■ヒル対策の必需品

バーリントン・トップスを訪れる際に気をつけたいのは、人や動物の血を吸うヒル(leech)。熱帯雨林、川の中、水たまりや水はけの悪い場所で吸いついかれないよう、サンダルではなく靴を履き、格好悪いが、ズボンのすそを長めの靴下で包む「支度」が必要だという。最後にはダメ押しに、ヒルが苦手な食塩を足首や靴に振り掛ける。水と帽子、日焼け止めはもちろん、食塩が必需品だ。

とは言え、晴れの日が数日続いていれば、ほとんどヒルに遭遇することはないという。筆者が訪れた際も、サンダルでトレッキングしている人もいれば、子どもたちもヒルのいる川で水遊びをしていた。

■途中で格安のカキ調達

シドニーからグロスターに向かう途中、幹線道路パシフィックハイウエーを外れ、養殖カキで有名なカルーア(Karuha)でカキを「大人買い」した。旧道沿いにも店舗があるが、訪れたのは、カルーア川の河口近くでカキを養殖するコール・ブロズ・オイスター。倉庫のすぐ裏がカウンターで、新鮮なカキを直売している。

殻付きは12個で9豪ドルで、自分で殻を取ると伝えてカキナイフ(10豪ドル)を購入。味見をしつつ、殻の取り方も丁寧に教えてくれた。さらには、失敗した時のためとして、カキを無料で6個くれた。カキはしばらく生きているため、室内が涼しければ冷蔵庫には入れないほうが長持ちするという。1週間過ぎると心配で冷蔵庫に入れてしまったが、購入10日後も生きており、食べても問題がなかった。

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