オデン体験記
ダーリングハーストのしゃれた小道に、見慣れた赤提灯を見つけた。屋根の付いたリヤカーに紺色ののれん。オレンジがかった柔らかな裸電球で照らされる、情緒溢れるおでん屋台だ。「見慣れた」と書いてはみたものの、あくまで映画などの画面を通じて懐かしさを感じているだけで、実物を見るのは初めて。いまいちピンと来ていないオージーの連れの袖を引っ張り、ジャパニーズ・オデンを体験させるという大義名分を掲げ意気揚々と暖簾をくぐった。
ここはシドニーなので、手ぬぐいを首に巻いた大将もいなければ、肝心のおでんも屋台で調理しているわけではなく、奥のキッチンで調理されたものが運ばれてくるだけなのだが、沸き立つ湯気と柔らかな大根に染み込んだやさしいダシの味で、すっかり気分は里帰り。
「おやっさん、熱燗もう一杯!」「飲みすぎだよ、お客さん」と定番のサラリーマンごっこもやってみたかったが、1合18豪ドル(約1500円)では叶わぬ夢だった。(松子)
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