男の背中
カタカナ英語が抜けないせいか、言語が不明瞭なせいか、いまだに注文を取り違えられることが多い。
仕事を終え、パブでのどを潤すことにした。まだ早い時間なので店内は空いている。カウンターに行くと、妙齢の美女が笑顔で迎えてくれた。「トゥーイーズ・プリーズ」「ショー」ということで待つこと30秒。カウンターにはビールグラスが2つ置かれた。
後ろを振り返ってみたが、自分の連れらしい人影は見当たらない。これはきっと、「トゥーイーズ」が「トゥー・トゥーイーズ」に聞こえたのだろうと瞬時に判断した。こんな時、あなたならどうするだろうか。「私が注文したのは1杯だけだ」と突っぱねるか、両手にグラスを持ってすごすごと退散するか。
私はどちらの道も選ばなかった。のどが渇いて仕方がなかったという体で1杯のビールを一気に飲み干すと、もう1つのグラスを持ってさっそうとその場を立ち去ったのだ。背中の視線を十分に意識しながら。(短吉)
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