湖城の窓から「最低賃金の引き上げ」
今週のトップ記事は青果です。オーストラリアの青果業界は今後、昨年の大雨のような気候リスクが減少し、肥料や物流のコストも落ち着きを見せていることから、短期的な将来は楽観視されているようです。
一方ニュージーランド(NZ)では、最低賃金の引き上げが懸念事項になっています。
明日4月1日以降、NZの最低賃金は現行の時給21.2NZドル(1NZドル=約83円)から7.1%上昇の22.7NZドルになります。農場管理ソフト企業のDataphyllによると、NZの小規模な青果農場では、コストにおける人件費の割合が、すでに60%を上回っているといいます。最低賃金の上昇は、そうした生産者をさらに多くの借金に追い込むか、市場から追い出すことにつながると言われます。また、季節労働者の雇用機会にも影響を与える可能性もあります。
さらに、労働コストの上昇が商品価格の値上がりにつながり、最終的に消費者の懐に打撃を加えることになれば、賃金の上昇によるプラスの効果が打ち消されることも考えられます。
もっとも、筆者は生産者とのインタビューでは毎回、人件費の高騰を価格に転嫁できているか尋ねていますが、ほとんどの生産者が難しいと回答します。厳密なコスト管理や生産性の改善でしのぐと言いますが、乾いた雑巾を絞らざるを得ないのが実情のようです。(編集長)
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