湖城の窓から「もう一つの重大ニュース」

今週は年末恒例の「今年の重大ニュース」を計11本掲載しました。この中には入っていないのですが、今年のオセアニアの農業界ではもう一つ、大きな動きがありました。

それはニュージーランド(NZ)における、農地の林業地への転換です。NZでは排出権取引スキーム(ETS)のもと、カーボンクレジットが呼び水となり、林業事業を展開する企業が急増していると言われます。林業地に転換される農地も増え、2017年以降これまでに17万5,000ヘクタール(ha)の農地が、林業地に転換される目的で売買されました。当初は7,000haにすぎなかった年間の農地の売買が、直近では5万haを超えたそうです。農業団体は気候変動問題に対する森林の貢献に理解を示すものの、転換の規模は必要以上に大きいと懸念を示しています。

NZでは今後、農場の排出量に応じた課税が計画されています。金融筋は新制度が林業の拡大を促すとし、偏重も指摘していますが、政府も想定はしているでしょう。林業立国を目指しているとも思えます。

さて、ウェルスは今週号が年内最後です。今年もご愛読いただきありがとうございました。来年もオセアニアの農業・食品業界の現状を広く深く、お伝えすべく尽力して参る所存です。よろしくお願い致します。(編集長)

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