湖城の窓から 「苦しいときの・・・ 」
オーストラリアの小売大手2社、ウールワースとコールズの決算が出揃いました。それぞれの数字はともかく、興味深いのは値上げがほぼ規定のものとして扱われていたこと。今年2月の半期決算では、両社ともインフレ圧力の増加に警鐘を鳴らしつつ、消費者の反発を危惧し、恐る恐る触れていたように思います。
オーストラリア食品協議会(AFGC)によると、新型コロナの流行以前にすでに主要な生産コストは50%上昇していたといいます。しかしメーカーがコストの増加分を吸収していたため、食品の卸売り価格の上昇幅は25%に抑制され、その分を卸と小売が負担していた格好でした。しかしコロナのパンデミックとウクライナ情勢で、原料や輸送価格の急騰、工場での新型コロナ関連の安全規制順守にかかる負担、パレットの不足と価格上昇などを背景に、一部の投入コストは2022年までの2年間で、最大700%にも増加しました。ここまでになると、サプライチェーンですべて吸収することは不可能です。AFGCは今年4月、消費者へコストを転嫁する段階に来たと宣言しました。
その後まだ4カ月した経過していません。この右肩上がりの価格動向はいつまで続くのでしょうか。この春から夏にかけては洪水も山火事も発生せず、必要十分な雨で農産物が豊富に生産され、価格が一気に引き下がることを期待します。こういうのを「神頼み」と言うのかもしれません。(編集長)
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