ことの葉「青春の食卓」
フライパンを熱し、バターを多めに溶かし、冷や飯をぶち込んでよく炒め、仕上げに味の素をたっぷり振りかける。学生時代に一人暮らしのアパートで好んでいた料理だ。
料理と言っていいのかためらうほど雑な学生飯だが、バンカラを気取っていた筆者にとって、「安くてガッツリ」「質より量」「旨くて早い」という具のないバターライスは定番料理。それの引き立て役とも言うべき味の素は、常に台所の中央に鎮座していた。
まだ日本食が普及していない十数年前、ふと西シドニーのアジア系食材店で味の素を見付けた時の感動といったら、旧友との久しぶりの再会のようだった。
それ以来、量は減ったものの南半球で当時と同じ黄金色のバターライスを頬張っている。変わらぬ旨さに舌鼓を打っていると、ふと旧友の声が聞こえる気がする。「お前、ちっとも成長してないな」と。(尋助)
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