オセアニア農業の歩み「地方の農業が望む政策強化」
オーストラリアの人口の約75%が都市部に暮らしている。とはいえ、国の基盤を支える一次産業の現場は地方にある。そしてその声は、実は国家の持続可能性や主権の根幹に関わる重要な論点を提示している。中でも印象的なのは、生体家畜輸出をめぐる政府への根強い不信感だ。NT畜産農家協会は、労働党政権が本気で生産者を守るつもりなら、生体羊の禁輸を撤回すべきだと主張し、業界団体「キャトル・オーストラリア」も輸出の将来保証を最重要課題の1つに挙げている。林業政策に関しては支持の分かれが興味深い。業界団体は保守連合を評価し、労働組合は労働党支持を打ち出しているが、注目すべきは保守連合が掲げる「木材製品の原産地表示義務化」の方針だ。これは森林資源の持続的利用と消費者への透明性確保の両立を目指すものであり、産地のブランド価値や国内製材業の強化にもつながる重要な施策だと感じた。
今回の選挙戦は、単に勝者を決めるだけでなく、地方の一次産業が直面するさまざまな政治的・経済的な課題をあぶり出している。どの政党が政権を握るにしても、こうした課題に向き合い続ける必要がある。(本田)
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