湖城の窓から「過渡期」

オーストラリアで州の農業生産者団体が、全国組織を離脱する動きが続いています。ニューサウスウェールズ(NSW)州の農業団体NSWファーマーズはこのほど、全国農業者連盟(NFF)から1年後に脱退する旨を通達。昨年にはビクトリア州農業者連盟(VFF)も同様にNFFから離脱しており、背景には財政的な負担と全国レベルでの代弁力のあり方への疑問があるようです。

NSWファーマーズは「生産者の権利や意志決定のモデルの非効率性は以前から認識されていた」と指摘し、組織の刷新を求めていました。一方でNFFは「改革が進行中で、今は脱退の判断を下すべき時ではない」と主張。両者の溝は深いようです。

オーストラリアの農業界では、農業における温室効果ガス排出問題や、農機の「修理する権利」問題など、国レベルでの解決が必要な問題が山積します。一方で気候条件や水資源、輸送インフラなど、生産の多様化と地域性の高まりを背景とした、州ごとに異なる課題も出現し、全国一律の方針では対応しきれない局面も増えています。

州や地域の農業コミュニティーが固有かつ柔軟な戦略を模索するのは自然な流れと言え、構造変革の過渡期に差し掛かっているのかもしれません。(編集長)

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