ことの葉「良き市民」

犬の飼い主には、犬の落とし物を拾う飼い主と拾わない飼い主がいる。かくいう当方は必ず拾うように心がけている。この国での日本人(とは見た目で分からないだろうから少なくとも東アジア人)の評判を落としたくないという意識もある。

同様に、スーパーに食材を買い出しに行ったときには使用したカートを必ずカート置き場に戻すようにしている。カート置き場がどんなに遠くても、ガラガラと押して行く。

先日も「良き市民」の義務を果たすため駐車場で空のカートを押していると、同じように空のカートを押していた白人男性が「あなたのカートも一緒に持っていってあげましょうか」と言う。白髪に白髭。どう見ても自分より年上だ。意外な申し出に狼狽し、「結構です。むしろ僕があなたのカートを持っていってあげましょうか」と返すと、「ではお願い」とカートを渡された。

なんか変だな……。良き市民は首をかしげながら2つのカートを押して歩きましたとさ。(城一)

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