湖城の窓から「それぞれの思惑」
先週の第692号で、「日豪の農業省が農業・食品のバリューチェーンに関する協力に合意」という記事を掲載しました。
合意したのは、農産物や食品の生産から消費に至るバリューチェーンの発展を促進するため両国間の関係を強化し、国レベルでの協力に取り組むという内容です。両国は同じ内容で合意したはずですが、発表は微妙に異なっています。
日本の農林水産省の発表は、「共同投資の長い歴史と強さを認識」した上で、「双方が逆の季節において生産を行っていることに留意しつつ、東南アジア及び他の市場への輸出のため共同生産を奨励する」「バリューチェーンの近代化に向けて協働する」としています。
一方でオーストラリアのプレスリリースは、「合意は両国の農業協力の長い歴史に基づく」としたものの、「日本は非常に重要な貿易相手国で、関係強化は日本市場における我が国の競争力を高め、我が国の産品の市場アクセスを強めるために重要」としています。
同じ合意なのに、自国産品を日本に売りさばく気満々のオーストラリアと、「協力して東南アジアに輸出……」なんて言っている日本、という不思議な構図ではありませんか。
もっとも、彼我の生産量には大きな差があり、日本側は食糧安全保障強化を目的とした輸入の安定化も目的の一つ(関係者)なので、オーストラリアの鼻息が荒くても構わないのかもしれません。
とはいえ、日本も令和12年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする目標がある訳ですから、「高まる日本食人気を背景に豪州市場を開拓する」と声高に宣言するくらいの気概を見せてもらいたいものです。(編集長)
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