湖城の窓から「豪ドル安」

明けましておめでとうございます。

5年ぶりの豪ドル安で始まった今年、今後は対米ドルでさらに下落する可能性もあると言われています。この状況はオーストラリアの農業界にとって、諸刃の剣となっています。

オーストラリアは燃料や肥料、農機など多くの農業資材を輸入に依存しています。これらは米ドル建てで取引されるため豪ドル安では輸入コストが増加し、生産者の経営を圧迫します。

一方で、豪ドル安は農産物の輸出競争力を高めます。米ドル建ての小麦や牛肉などは輸出価格が相対的に下がり、海外バイヤーへの魅力が増し、需要が拡大するという恩恵を受けます。

今年度のオーストラリアの農産物生産高は、過去2番目に高い884億豪ドル(1豪ドル=約98円)と予想される中、輸出額は701億豪ドルと8割近くに上るとみられています。

また、海外投資家にとってオーストラリアの農業資産が魅力的になるため、国内農業界の資本構成に変化が生じ、長期的な影響が出るとの見方もあります。

豪ドル安予想はトランプ次期米政権による関税引き上げや中国経済の低迷長期化が背景となっています。南半球の農業界も、世界の不確実性に翻弄される年になりそうです。(編集長)

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