湖城の窓から「原発と農業」
オーストラリアの最大野党保守連合(自由党・国民党)の原子力発電所計画に、労働党政権のワット農業相が懸念を示しました。
農相が危惧したのは、「水」です。ワット氏は「原発は水を大量に消費する」と指摘し、農業界の水へのアクセスを脅かす可能性があるとしています。
自由党のダットン党首が提案した7カ所の原発設置箇所は、放牧が盛んな大鑽井(グレートアーテジアン)盆地内に位置するクイーンズランド州のタロング(Tarong)など、多くは農業生産地域内にあります。農相は「農業界が原発と競合する水の確保にいくら払わねばならないか明確でない。農業界はそれを質す資格がある」と述べています。
対する国民党のリトルプラウド党首は、ワット氏の発言を「恐怖を煽るものだ」と批判。「設置候補地は現在の石炭火力発電所を置き換えるもので、水の使用も既存の水利権の範囲内」と強調しています。さらには、与党が推進する再生可能エネルギー事業が必要とする、新規の送電施設などが不要とし、「農業界への圧力を緩和する」と主張しました。
独立研究センターのエネルギー担当幹部は、原発に必要な水の量は石炭火力発電所と同水準とし、「これまで問題なければ原発に切り替えても問題はないはず」と述べています。
エネルギー政策が次の連邦総選挙の争点となる見通しです。原発に関し答えが出ていない問題は多数ありますが、農業界でも論争が始まっています。(編集長)
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