湖城の窓から「被害者は誰?」

オーストラリアの小売り大手コールズが今週、増収減益の半期決算を発表しました。コールズと同業のウールワースは現在、インフレに便乗した値上げで消費者に不当な損失を与えているとの批判を受けています。そうした中での決算発表は注目を集め、最上位労組のオーストラリア労働組合評議会(ACTU)はコールズの発表後すかさず、「巨額の利益を得たコールズは値下げすべき」との声明を出しました。

こうした批判はこれまでも各方面から聞かれ、オーストラリア連邦準備銀行のブロック総裁も、「一部の企業が旺盛な需要と競争の欠如を背景に、高インフレを隠れみのにして価格をつり上げている」と述べています。

しかし、最近になってスーパー擁護論もちらほらと聞かれるようになりました。

経済学者のロバート・カーリング氏は、大手スーパー2社が価格を引き下げ利益をすべて放棄した場合でも、消費者の食品支出の減額は4%にすぎないと試算しました。さらに検証を行った結果、スーパーの利益が生活コスト圧力の原因だとする根拠はないと結論付けています。

このほかにも、政府のスーパーに対する圧力は、有権者の支持を得ようとする大衆迎合的キャンペーンだという批判も強くなっています。

こうした声は、政府の小売業界に対する圧力強化は市場経済をゆがめ、最終的に消費者が不利益を被ると主張しています。

この論争、最近ますます盛んになっていますが、消費者が被害者ということだけは間違いないようです。(編集長)

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