湖城の窓から「値下げ圧力、理由は何?」
オーストラリアでは新型コロナのパンデミック以降、食品価格は18%上昇しました。一見急上昇したように見えますが、投資銀行バレンジョイによると、隣国ニュージーランド(26%上昇)や米国(26%上昇)、英国(29%上昇)などに比べると穏やかな上昇です。
先週のトップ記事は連邦政府のスーパーへの介入、今週も続報として競争委員会がスーパーに対し、不正な価格設定があれば告発すると警告したことを掲載しました。
食品にかかるコストは、仕入費用だけでないのは言うまでもありません。家賃、光熱費、建設費なども含まれますが、こうしたコストはスーパーの値上げ幅以上に高騰しています。また、コールズの株価は下落しており、金融業界でもスーパーの利益が高すぎるとの非難はありません。
にもかかわらず圧力が強まっているのは、サプライチェーンの中で最も密に消費者と接するスーパーに、インフレ不満の責任が押し付けられているからとも言えます。スーパーはその主張の正当性に関係なく、ある程度の値下げをすでに行っています。
一方、今回の港湾ストによる物流の遅れは、長引けば小売業界の在庫負担が増すことになると言われます。スーパーが在庫コストを消費者に転嫁することは、今の状況では難しいはず。スーパーが負担増分を自ら吸収せざるを得ない今回の物流混乱も、いくら政府が圧力を強めても、大幅な価格引き下げは見込めない理由の一つになりそうです。(編集長)
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