豪NZから学ぶ農業への思い

日本政府が、食料安全保障を強化している。世界情勢不安を背景に、万が一食料危機が来た際に、農家や企業に生産・輸入の拡大を緊急要請する法案を準備しているという。

しかし日本政府はこれまで、自国の農業をなおざりにしてきた。あらゆる自由貿易交渉で、常に日本の農家が犠牲になってきた。今や食料自給率は30%台で、農地面積も減少を続けている。それなのに、今さら「農業の基盤強化に本格的に取り組む」というのはどういうわけだろう。

筆者の実家がある長野県北部では、東京ドーム3.6個分とも言われる巨大なショッピングセンター構想が着々と進むが、それは周辺の水田や農地を潰して作るものだ。そうした開発は、いったん作ってしまったら元の農地に戻すのはほぼ不可能だ。

翻って、オーストラリアやニュージーランドの政府の農業政策を見ていると、自国の農業を守ろうという本気度が伝わってくる。それは即ち、人間の生きる源である食料を支える業界だという畏敬の念があるのだろう。日本が、両国の農業政策から学ぶ点はいくつもある。今年は特にそのことを、日本人に伝えたい。(西嵐)

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