種の図書館
シードバンク(種子銀行)というシステムがある。将来に備えて多様な植物の種を、適切な温度管理の下で保管するものだ。種を使う事態が来ないことを願いつつ、絶命の危機が来てしまった際に備えたものだと言える。
これに対して、植物の種を積極的に使うことを目指した、シードライブラリー(種子図書館)という制度があることをつい最近知った。
ニューサウスウェールズ(NSW)州のシードライブラリーは、公立図書館が運用している。誰でも野菜や果物の種が入った袋を自由に「借りる」ことが可能で、収穫後に種を選り分けて図書館に種を「返却」すればよいという。新型コロナウイルスの感染流行で食品の入手が問題になった際、シードライブラリーの種で作った野菜が役に立ったそうだ。
本を借りる場合と違うのは、シードライブラリーの場合は「返却」が必ずしも義務ではないということだ。これはオーストラリアらしいルーズさと言うべきか。(欣達)
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