Special Report「もちもちのうどんはWA州産」
日本と西オーストラリア(WA)州の関係は、鉄鉱石やLNG(液化天然ガス)に代表される豊富な天然資源が注目されますが、資源・エネルギーだけでなく、農産物もまた日本と西オーストラリア州間の経済発展に大きく貢献しています。【パース総領事館経済班】
日本は国家貿易制度の下、主要食糧である麦を輸入し、国内の製粉企業、加工業者に供給しています。西オーストラリア州からは、年間80万~90万トンの麺用に適した小麦を安定的に輸入しており、日本のうどんの原料で圧倒的なシェアを占めています。
■「弾力や食感で優れる」
日本で食べられるうどんの原料が西オーストラリア産であることはあまり知られていませんが、色合い、弾力性、食感等の面で大変優れており、日本国内のうどん製造に、欠くことのできない材料となっています。
西オーストラリア州は、うどん等に使用される種類の小麦の生産に適した土壌であり、その特性を活かして、日本の需要にマッチした品種開発に取り組み、顧客の用途や要望にきめ細かく対応してきました。また、うどん適性が優れた小麦品種の分別管理を行い、日本向けに特別にブレンドし輸出しています。
一昨年には、西オーストラリア州政府主催により、製麺用ヌードル小麦の分別管理30周年を記念した式典がパース市内にて開催されました。
西オーストラリア州で栽培されている小麦のうち、特に日本向けのうどんに適した小麦の品種について、開発から日本の研究者や製粉企業が深く関わってきたことを踏まえ、日本の関係者を中心に招待し、開催されたものです。
西オーストラリア州政府所管の穀物研究機関であるAEGIC(豪輸出穀物イノベーションセンター)は穀物のプロモーション活動の他、日本向けに輸出される小麦の品質評価試験なども行っています。
■日豪双方の技術者が協力
AEGIC小麦品質技術市場マネージャーのラリッサ博士は、製麺用ヌードル小麦のスペシャリストであり、「ヌードル博士」と呼ばれています。
「完璧なうどんは『もちもち』で口当たりがいい。もちもちとは、柔らかさとハリのバランスが取れていて、弾力性とややべたつきがある。見た目はクリーミーで明るくやや黄色で安定している」と、うどんの繊細な食感や見た目について見事に表現されています。
なお、1989年から日本の専門家がオーストラリアを訪れ、日本のうどん用に育てられた未発表の小麦品種の評価を支援するなど、日豪双方の技術者が協力し、努力を積み重ねて両国の特別な関係が続いています。
さて、パースにはうどん専門店があり、日本で食べるうどんと変わらない本格的な味を楽しむことができます。
日本へ輸出された西オーストラリア産小麦が、小麦粉になり再び当地で使用されると聞くと不思議な感じがしますが、日本の高い技術で調整されたこだわりの小麦粉で作られる自家製麺は、まさにもちもちの食感です。
ランチ時には日本人だけでなくオージーもたくさん来店しており、いつでも誰でもどこでも食べられるうどんの食文化がパースでも受け入れられているなと感じます。
このような意外と知られていない日本とオーストラリアのつながりを皆様に知っていただき、相互理解を深め、お互いの国の魅力発信に繋がっていけばと思います。
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