第34回 競争で老舗の「味」光る!キッコーマンのロバートさん
オーストラリアのスーパーマーケットで見かける独特の形の卓上ボトル。海外でしょうゆの代名詞ともなっている「KIKKOMAN」のブランドはオージーの食卓にも普及している。日本食への関心がさらに高まる中、しょうゆ市場での競争も強まってきた。キッコーマン・オーストラリアでスーパーマーケット向けの業務に携わっているロバート・マーシュマン(Robert Marshman)さんに話を聞いた。
ロバートさんは最近、ダーウィンへの出張から戻ったばかり。元々担当していたローカルの業務用向けから、スーパーマーケットなど消費者向けである小売用の担当になり、忙しくなったと笑う。
しかし、業務用も小売用も両方好きな分野だそうで、特に大手スーパー数社が力を持つ小売市場と違い、市場でのプレーヤーが多様な業務用は需要も非常に堅調で、おもしろいという。業務用は飲食店のほか、ホテル、病院、政府系組織、ケータリングが対象だ。
ロバートさんはキッコーマン入社前にも大手食品会社に勤務しており、業界での経験は長い。キッコーマンに入社したのは「強いブランド力を持つ会社で働きたかった」ことが理由の1つ。特にオーストラリアで生き残るには、強く、信頼あるブランドを持つことが大事だと考えている。ロバートさんの記憶では、キッコーマンが本格進出する1980年代よりも以前から、オーストラリアでは「KIKKOMAN」ブランドが浸透していたそうだ。キッコーマン・オーストラリアはオーストラリアに加え、ニュージーランドも販売業者を通じて管轄。販売商品は主にシンガポールで生産されたものだ。
■市場の成熟で強み発揮
オーストラリアのスーパーに並ぶ商品は、マリネードソース(漬け汁)を入れて約10種類で、消費者に一番人気があるのは150ミリリットルの卓上ボトルに入ったしょうゆだ。「一目でしょうゆだと分かり、非常に機能的でもある象徴的(iconic)な容器」だとロバートさんも絶賛。小売用でもしょうゆの需要は堅調だが、特にグルテンフリーと減塩タイプのものが伸びているそうだ。安価な他ブランドの登場などで競争は強まっているが、市場が成熟してくることでむしろ、本醸造(naturally-brewed)しょうゆや品質の高さなどキッコーマンの持つ強みがさらに発揮されるとみている。
■しょうゆは「万能」調味料
業務用では、飲食店やホテル、病院、ケータリングなど複数の区分があり、それぞれに合った対応をすることが重要だという。全ての区分で成長が見込めるものの、特に力を入れているのは高級レストラン向けだ。消費者は価格に左右されてしまいがちだが、著名なシェフなどのプロは質にこだわるため、キッコーマンの品質の良さを粘り強く説明して使ってもらうことが大事だと考えている。昨今のグルメブームもあり、シェフや料理家の発言力は大きく、結果的に消費者に好影響を与えることになる。
さらにしょうゆを身近なものにするため、ウェブサイトでレシピを提供し、職業訓練専門学校(TAFE)や料理教室、シェフなどと提携している。
ロバートさんがキッコーマンという会社で好きなのは、日本文化を大事にし、その普及や保存に力を入れていることだという。「文化を守っていくことは日本に限らず、世界全体にとって大事なこと。世界が全て同じだったら味気ないでしょう」と語る。将来日本に行ったら、スキーを楽しんで、日本の文化を学びたいというロバートさん。刺身だけではない、万能なしょうゆの使い方をもっと普及していきたいと思っている。
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