海水スープの味
パプアニューギニア(PNG)の島しょ部にある辺境のキリウィナ島で、村人からヤムイモとスープの昼食を頂いたことがある。スープには魚と野菜が入っていたが、これまで口にしたことのない絶品のスープだった。
同行の日本人と味の秘密を議論したが分からなかった。村人に聞くと、調味料を使ったのではなく、海水をそのまま使ったという。海水にはいろいろな成分が含まれており、それが功を奏したようだ。PNGには植物から塩を精製する部族もいるが、一般的に海水から塩を作り出す方法は普及せず、海に近い部族は歴史的に海水をそのまま調味料として使っていた。
西洋人との接触で商品としての塩が出回り、お金で買うことができるようになったものの、換金手段の少ないキリウィナ島のようなところでは、塩を買う金銭的な余裕がない。絶品の海水スープは、塩味をつける調味料が海水しかなかったためのやむにやまれぬ味だった。(頼徳)
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