オセアニア農業の歩み「厳しい合理的判断」

今週のトップでは、オーストラリアの冬作物が6,200万トンを超える豊作となる見通しをお伝えしました。西オーストラリア州の目覚ましい収穫量がこの好結果を牽引しており、この明るいニュースは食料供給の安定という点で非常に心強いものです。

一方で、気候変動が農家に突きつける厳しい現実と、それに立ち向かう苦渋の判断に、あらためて気づかされました。干ばつに見舞われていた南オーストラリア州とビクトリア州では、穀物として収穫しても、低品質となり収益が減るリスクがあることから、一部の作物を干し草(家畜飼料)へと切り替える決断が下されました。

ただ、干し草市場も不安定となっています。需給がひっ迫していた7月には、1トン当たり650豪ドル(1豪ドル=約99円)という記録的高値をつけていましたが、今後60%も暴落する可能性があるとみられています。生産者は1トン当たり300豪ドルを要求していますが、250豪ドルほどで取引されるという見方が出ており、収益見通しに影を落としています。天候と市場価格に左右される農業の厳しさがあらためて浮き彫りとなりました。(本田歩)

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ウェルス編集部

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