湖城の窓から「友人を装う敵」
豪中の関係改善が急速に進んでいますが、オーストラリア国立大学の経済学者ゴーリー教授の見解が興味深いのでご紹介します。
「互いを必要としている友人を装う敵」という刺激的なタイトルで、豪中両政府はビジネスを行うに当たり、互いを理解する必要はないことを証明した、という内容です。
もともと両国は人権や安全保障を巡り、互いの非難に明け暮れていたものの、オーストラリアはピーク時には輸出の約半分が中国向けで、中国は天然資源の供給元としてオーストラリアに依存している関係性があったといいます。中国は貿易制裁がオーストラリアを手なずけることにはならず、むしろ豪米の関係強化につながっていることに気付き、オーストラリアは経済を犠牲にできないと判断して、互いに歩み寄った状況だと指摘。
オーストラリアは米国と政治的、軍事的に強い関係があるため、超大国間の争いでは米国側につくことになります。このことは半導体関連の規制など、中国に対し積極的に悪影響を与える政策をとる国の側に立つことになり、豪中は貿易正常化が進んでも相互理解は生まれず、振り出しに戻る可能性もあると予想しています。
中国は、リチウムなどが豊富なオーストラリアをこれ以上米国に近づけたくないだけ。オーストラリアは従来の貿易を継続したいだけという関係で、気候変動問題など本来協力が必要な場面で協調できないリスクは解消されていないと指摘しています。
(編集長)
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