湖城の窓から「命題の答え」
ニュージーランド(NZ)で鶏卵不足が発生しています。動物福祉の重視により鶏の飼育規制が強化された結果、めぐりめぐって鶏が70万羽も減少したそうです。
フリーレンジ(放し飼い)はケージ飼育に比べ、飼料の消費量や必要な労働力も多く、コストが高いといわれます。外部環境と接することで天敵や細菌感染、病気のリスクも高く、死亡率はケージ鶏の6倍に上るそうです。生産状態は気候に大きく依存することで、業界では「フリーレンジは食品生産の視点からは堅実な基盤ではない」との声も聞かれます。
オーストラリアでも昨年8月、鶏卵が不足しスーパーの商品棚が空になりました。新型コロナウイルス流行中に鶏の処分が進んだ直後、規制緩和により需要が急反発し供給が追いつかなかった形です。ちょうど冬季だったことで産卵効率を最大化する日照時間がフリーレンジでは得られなかったことも、生産回復の重しになったといわれます。
フリーレンジの短所ばかりを書き並べましたが、消費者が好んでいるのも事実。2020/21年度のオーストラリアの鶏卵の販売額のうち、59%がフリーレンジで、ケージ卵は28%でした。
NZでは現在、オンラインオークションで雌鶏の出展数が例年の2倍以上になっているそうです。庭先でフリーレンジ卵を、という訳です。
卵が先か鶏が先かという命題は、とりあえず鶏が先と言うことになりそうです。(編集長)
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