湖城の窓から「NZ首相のロビー活動」
4年越しの交渉で、ニュージーランド(NZ)と欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)が合意しました。交渉は夜を徹して行われ、発表の数時間前まで継続したと言われます。
アーダン首相はこの合意を「戦略的に重要」と評価していますが、NZの輸出界は、EU市場に十分なアクセスを得るのは難しいと前から認識していたと言われます。EU加盟の数カ国が国内の農業保護のために、域外からのアクセス許可に消極的なことが背景ですが、NZ食肉産業協会(MIA)などは政府に対し、十分な取引内容に達しなければ、無理に合意せず、交渉場所のブリュッセルから帰国するよう促していたとされます。
しかし、今回の交渉で進展なく欧州を離れることは、最終的な合意がまた数年遠のくことを意味するとされ、NZの交渉団にとってリスクが大きいと判断されたようです。
それだけでなく、とりわけアーダン首相にとっては、先月の世論調査で与党労働党の支持率が野党国民党を下回ったことで、手ぶらで帰国するわけにはいかないという事情もあったのでしょう。首相はブリュッセルに向かう前に、スペイン、フランス、ドイツ、イタリア、デンマークの指導者と会談。協定合意に向け個別にロビー活動に励みました。公共放送ラジオNZは、合意形成の裏には首相の動きがあったと報じています。
政府は自賛していますが、農業界の一部からは失望の声が上がった今回の合意。農業国だけに、今後の支持率に影響が出るかどうか。(編集長)
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