新・豪州Wagyuと歩む 第6回 Wagyu、中国大陸へ(その2)

■中国北京郊外農場

和牛生物科技有限公司が所有している北京市郊外の農場では、和牛の受精卵採取や和牛肥育を行っています。現在600頭近い受精卵採卵用ドナー牛と肥育牛が飼育されており、さらに牛舎を増築して本格的に肥育事業を始めようとしています。私は2011年からこの牧場の飼養管理をコンサルタントとして見てきましたが、初めてこの地を訪れた時には何も無い山間地だった場所に、牛舎4棟と牛肉加工施設まで作り上げてしまうパワーに驚かされます。

■中国での和牛肥育

過去4年間に中国を訪れ、飼料会社の方とのミーティングや、大連市の大規模農場などを訪問する機会がありました。中国は元来、日本と食文化が似通っている事もあり、食品副産物や栽培されている粗飼料などの種類も和牛肥育に適したものが多い様に感じました。羊草、稲わらなどの粗飼料はオーストラリアで入手できるものに比べて質も良く、フスマ、大豆粕などの副産物も入手可能でした。自社牧場での肥育開始当初は、肥育牛の月齢管理や飼料給餌のシステムがうまく理解されていなかったこともあり、肥育牛の品質にバラツキも多く見られました。ただし、中東での和牛肥育経験との大きな違いは、この農場は牛の健康管理が浸透している事です。現在肥育されている牛群は月齢管理と飼養管理がしっかりしてきたので牛の仕上がりも良く、肉質も大いに期待できそうです。

■中国での和牛肉販売

和牛生物科技は、自社牧場で生産された和牛肉販売を始めました。中国の食文化の中で牛肉はそれほどポピュラーではないように感じます。レストランには鶏肉、豚肉、羊肉のメニューが多く並びます。しかし、和牛への需要は高まっているようです。高級しゃぶしゃぶ店には和牛のメニューもありますし、韓国スタイルの焼き肉店なども増えているようです。また、ワインなどの普及によって、ステーキなどの洋食レストランも増えています。

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投稿者プロフィール

鈴木 崇雄
シドニー近郊のブルーマウンテンにある和牛牧場「 ベルツリー・オーストラリア」代表。日本人が営む唯一の和牛牧場として、オーストラリアで注目を集めている。