新・たえこのワイン 第39回 「Tulloch Wines」CEOインタビュー

【Tulloch Wines】
638 De Beyers Road, Pokolbin NSW 2320
Tel 02 4998 7580
URL www.tullochwines.com

最近、ハンターバレーの「セラードア・オブ・ザ・イヤー」を受賞した創業120周年の老舗ワイナリー「Tulloch Wines」を訪れました。同ワイナリーは、スコットランド系移民のジョン・タラック氏がハンターバレーの土地を入手し、その土地にブドウが植えられていたため、ワイン作りを始めたTulloch家ですが、120年の歴史の中では家族経営のワイナリーが大手企業の傘下になったこともあります。現在、同ワイナリーの最高責任者(CEO)を務めるクリスティーナ・タラックさん(創業者の曾孫)に話を聞くことができました。

Q.創業120周年と受賞おめでとうございます。何が受賞の要因だったのですか。

私たちのセラードアでは、お客様のご要望によって様々な「体験」をしていただけるように工夫しています。ハンターバレーは、リラックスできる観光地でもありますから、お客様が観光目的で気軽に楽しみいたい場合は、カウンターでカジュアルに試飲や購入ができますし、ワインを真剣に選びたい方には、個室やメンバーズラウンジでプライベートな試飲や勉強をできます。それぞれの嗜好やシーンに合わせた「体験型」のセラードアにしていることが受賞の要因になったのではないでしょうか。

 

Q.最新のビンテージ(2014年)について教えてください。

2014年は、ブドウ栽培の条件としては素晴らしい年でした。温暖な気候に恵まれたおかげで、濃厚なワインに仕上がりそうです。私たちのワイナリーでは、プレミアムシリーズである「Hector Limited Release Shiraz 2014」と「Private Bin Pokolbin Dry Red Shiraz 2014」をこれからボトリングし、今年中旬にリリースします。これらのシリーズは、毎年お得意様から好評をいただいていますが、2014年ビンテージについては最高の条件の下で作られたので、高い期待に沿えることでしょう。

Q.「Tulloch Wines」の特徴的ワインは何だと思いますか。

私たちのワイナリーはハンターバレーにあるので、当地の名産である「シラーズ」と「セミヨン」は外せません。当然、主力商品のなるよう力を入れています。一方で、近年人気が出ているのが「バデーリョ(Verdelho)」です。弊社では、ドライで食事に合うタイプの「Vineyard Selection」をはじめ、オフドライやスパークリングなど複数の異なるスタイルで提供しています。

バデーリョはアジア料理との相性の良さもあり、幅広い層の方にカジュアルで楽しんでもらえる品種です。

 

Q.ワインビジネスで大変なことはありますか。

市場の嗜好の移り変わりを見逃さないようにするのが大変です。それによって、需要が無くなったり、取引先を失うリスクを考えます。私から見て市場の嗜好は、より一層「バランスの取れたスタイル」にシフトしているように思います。弊社の強みである伝統的なスタイルを大切にしつつも、消費者の嗜好に合ったものも提供できるようにこれからも研究していきたいです。海外輸出についても、現在、日本を含め、アジア中心に輸出しているので現地の食文化や嗜好に合ったワインを、といつも考えています。

 

Q.生活の中でどのようにワインを楽しんでいますか。

多くのオーストラリア人がそうであるように、私にとってワインは「ライフスタイルのひとつ」です。イベントや食事には欠かせませんし、料理をしながらワインを楽しむのも好きです。

私の父ジェイはまだ現役で、弊社のワインメーカーを務めています。そんな代々ワインビジネスに関わっている家庭に育ったので、ライフスタイルでワインの存在が他の人よりも大きいのは確かですね。

【駐在員のためのワイン講座】

豪州のワイン生産地 その4
「ヤラバレー ビクトリア(VIC)州」

 

メルボルンから約50キロという近距離に位置し、商業ワインの生産では最も古い地域のひとつであるヤラバレーですが、ここ10年ほどで高品質のピノ・ノワールの産地として再注目を浴びています。

ヤラバレーの気候は、温暖海洋性と冷涼の中間になります。内陸部ほど乾燥しないので、寒暖差は低く、標高も高くありませんが、ポートフィリップ湾からの湿った冷気が流れ込みます。この気候は、フランスのブルゴーニュ地方と似ており、ブルゴーニュ地方の代表的な品種であるピノ・ノワールとシャルドネが広く栽培されています。ピノ・ノワールの特徴であるイチゴやラズベリーの風味がデリケートなので、オークの香り付けは慎重に行われ、少量生産のプレミアムワインに仕上げられます。また、ピノ・ノワールとシャルドネのコンビネーションはスパークリングワインの生産にも適しています。フランスのモエ・エ・シャンドンがヤラバレーに「ドメイン・シャンドン」を持っていることでも有名です。

その他、ヤラバレーで有名なワイナリーは、Cold Stream Hills、Oakridge、Giant Stepsなどがあります。

品種では、カベルネ・ソービニョンも人気があります。南オーストラリア州など温暖な地域と比較して、ミントやユーカリといったハーブの香りが強いのが特徴です。タンニンも比較的強い品種なので好き嫌いが分かれますが、ハーブを使った肉料理(特に羊や山羊)に合います。

過去10年で、山火事や寄生虫フィロキセラによる重大な被害もありましたが、着実にその評価を上げているヤラバレー。当地で最も歴史が古いワイナリーであるYering Stationは現在、フランスのシャンパンハウスChampagne Devauxとパートナーシップを組んでいます。先述のドメイン・シャンドンと共に海外からも注目されていることが分かりますね。

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