第66回 猫の良いところを引き出す達人!品評会審査員の尚枝さん
毎年恒例のシドニーでの農業大イベント、シドニー・ロイヤル・イースターショーが今月開幕した。イースターショーでは家畜に加えて犬や猫などのペットの品評会にも関心が集まる。イースターショーで猫の品評会(キャットショー)の審査員を務めるため日本からシドニーを訪れていた、田崎尚枝(たさき・ひさえ)さんに話を聞いた。

猫を審査する尚枝さん(右)
尚枝さんは、世界最大の猫の血統登録機関で、世界最大のキャットショー公認機関でもあるTICA(The International Cat Association、ティカ)の審査員の資格を2005年に取得。日本のみならず海外でのキャットショーにも呼ばれるため、イースターショーでの審査が終われば次には中国、そして5月のゴールデンウイークには日本の幕張と、スケジュールが詰まっている。海外では今年は6月には韓国、11月にはジュネーブとさらに続く。
オーストラリアのキャットショーで猫の審査をするのは、5年ほど前に行ったパースに続いて2度目。シドニーでの審査の依頼は電子メールで「突然届いた」(尚枝さん)そうで、最初は驚いた。尚枝さんは自分に白羽の矢が立った理由として、日本人の審査員が国内外で活躍していることや、最近は交流サイト(SNS)などで海外の品評会の参加者や関係者が情報を共有し、自分の知らないうちに情報が広く発信されるようになったこともあるという。
■それぞれの良さを引き出す
イースターショーでは、8~9日の審査を担当。尚枝さんと会ったのは8日だが、これまでに品評会で接したシドニーの猫の感想を聞いたところ、尚枝さんは「良い”子”が多いです」と満面の笑み。特に「サイアミーズ(シャム)が素晴らしい。日本では見られない」そう。サイアミーズは日本でも人気だったが、鳴き声が大きいなどの理由で、住宅の密集する日本では敬遠されるようになってしまい、今は少ないという。ちなみに日本でTICAの登録数が多いのはベンガル。ラグドール、メインクーンと続く。
猫の「美人コンテスト」ともいえる品評会。審査方法を聞くと、「審査の目安となるスタンダードが60種類くらいあり、ヘッドが何点、ボディーが何点というように加算していきます」(尚枝さん)との答え。それぞれの猫の種類によって重視されるポイントが違うそうで、各部分だけでなく、全体のバランスもみる。
また、ドッグショーでは犬を歩かせるウオーキングも審査の対象になるが、キャットショーではハンドリングがそれに相当する。人間のように、スター性のある猫やシャイな猫もいる。尚枝さんがキャットショーで猫と接する上で気をつけるのは、「猫の気持ちになって猫をリラックスさせ、その子の良さを引き出してあげること」だそう。緊張した猫にかまれてけがをする審査員は少なくないが、気持ちが猫に通じるのか、過去12年間のキャリアで猫にかまれたことはないそうだ。
■長年の実績作り

「審査は立ちっぱなし。肉体労働でもあります」尚枝さん
猫のブリーダーをしていた尚枝さんは、「全ての猫を見たい、触りたい」との思いから審査員の道を目指したそう。TICAの審査員になるには、ショーの規則や遺伝学など英語での試験や米国での研修などが必須で、受験資格を得るにもキャットショーの受賞歴など実績を積み上げることが必要だ。試験合格後も、TICAの役員会での承認がいる。審査員になるまでに「10年はかかる」(尚枝さん)そうで、もっと長く時間がかかる人もいる。
尚枝さんは今後も、猫の審査を国内外で続けたいと思っている。海外では、伝統があり1日200頭と多くの猫を見られ、食事も楽しみな欧州がお気に入り。日本のキャットショーもかつて1日200頭が出場した時期もあったが、最近は頭数が少なくなり、今では50~60頭、多くて80~90頭だとか。
日本のショーは開催数が多く、スポンサーが見つけにくいため、出場料金が高めになってしまう傾向がある。しかし、イースターショーはスポンサーがしっかり付き、出場しやすくなっているのが良いですね、と尚枝さん。シドニー滞在中にはぜひ動物園に行ってみたいそうだ。
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