第62回 地方でリアルな豪州を!アイエス留学ネットワークの前田さん

nehori1

前田さん(写真)が担当した約80 人は全員がビザ取得

オーストラリアの農業にとって、ワーホリの若者は重要な労働力。オーストラリア政府は、指定の地域で農業や漁業などの第一次産業に一定期間従事した人を対象に、滞在期間を1年延長できる「セカンドビザ」の取得を認めており、日本人の若者にも「ファーム」と呼ばれる農場での仕事が人気だ。アイエス留学ネットワークが開催するファームセミナーに参加し、同社でセカンドビザのサポートを行う前田宏夢(ひろむ)さんに話を聞いた。

ファーム経験者でもある前田さんが開催するこの少人数セミナーの参加者はこの日、筆者を含めて4人。このうち1人は3週間前にサンシャインコーストでイチゴ農場とカニ工場での仕事を終えたばかりの金美華さんで、体験談を話すためセミナーに参加していた。

前田さんが接するファーム希望者の大半はセカンドビザの取得が目的。そのため、セミナーはビザの取得資格の確認や書類の記入方法などの実務的な説明から始まる。

重要になるのが農場での労働日数のカウントだ。フルタイム雇用で3カ月間(休日含む)、それ以外では休みを除く88日分の実働日数が必要となるが、農業では仕事量が農作物の出来や天候に左右されるため流動的なカジュアル雇用が大半。実働日数を把握するのは注意が必要で、日数は1日でも足りなければビザは下りないそうだ。もちろん給与明細や、航空券のチケット、農場オーナーからの手紙など、働いた証拠の提出を求められることもある。

 

nehori2

少人数で質問も自由

■週に最高千ドル!

前田さんによると、ファーム希望者の中にはほかにも少数ながら、貯金や英語力強化、農場ならでは経験を求める人がいる。2015年末からは、宿泊と食事の代わりに有機農場などで労働力を提供するウーフ(WWOOF)と呼ばれる無給労働でのセカンドビザの取得ができなくなったこともあり、純粋に農場ならではの経験を求める人は減っているという。前田さんが扱った案件では、「全体の5%にも満たない」そうだ。

筆者が聞いた話では、クイーンズランド(QLD)州では、実家が農家という若者がワーホリビザで農業修行にオーストラリアに来ているらしい。そのことを聞くと、「シドニーではあまりないが、農業が目的なら直接QLDに行くのではないか」との返事が返ってきた。

また、貯金がファームの目的になるのは、歩合制だと週に最高1,000豪ドル(1豪ドル=約86円)の収入を得られるため。さらに、地方での共同生活のほか、仕事探しや、良い条件の仕事を得るためのネットワーク作りなどで、英語力も磨かれるそうだ。

金さんの体験では、仕事場で突然「きょうで終わり」と告げられることもあったという。より良い仕事を早く見つけるには「アグレッシブな姿勢が必要」で、「人の紹介が一番」だと語っていた。達人は収穫シーズンとともに場所を移動し、仕事を追っていくという。

■日本の農業に思いはせ

地域別で、やりやすさや仕事の量でダントツなのはQLD州。シドニーからの便も良く、日本語での情報が豊富。気候が良く何かしらの仕事があるという。また人気だが競争も激しいのがタスマニア州。12月~翌年3月がシーズンのチェリーやイチゴなど、観光シーズンと収穫期が重なるためだ。

ファームを終えた人は決まってたくましくなり、「楽しかったと口をそろえていう」(前田さん)そう。苦労もあるが、達成感は格別。なぜか女性には「はまって」しまう人も多く、ビザが取得できたにもかかわらずまたファームに戻る人もいるという。

「若者が滞在しがちな都市部はオーストラリアという国のほんの一部。ファームを通してリアルなオーストラリアを楽しんで欲しい」と語る前田さん。「農業の知識のない自分でも、(日本と違う)規模の違いや、裕福な農家の存在など、こちらの農業を目の当たりにして、日本の農業を見つめ直すことにもつながった」そうで、「ファームは、セカンドビザの必要のない人にもおすすめ」だそうだ。

投稿者プロフィール

公式SNSをフォロー