第15回 砂糖に「甘い」オーストラリア?パラドックスめぐる議論も
食後血糖値の上昇度を示すグリセミック指数(GI)の権威であるシドニー大学の教授2人が3年前に発表した、「オーストラリアン・パラドックス」と呼ばれる研究がある。肥満の割合が増えていた1980年から2003年までのオーストラリアについて、逆に砂糖の摂取量が大幅に減っていることを理由に、たとえ砂糖の摂取を減らしても、必ずしも肥満の解消にはつながらないとする内容だ。広く解釈すると、砂糖の摂取を正当化しているとも受け取れるため、物議を醸している。
この研究結果に異を唱(とな)えているのが、オーストラリア連邦準備銀行(RBA)の元エコノミスト、ローリー・ロバートソン氏だ。
■元エコノミストがデータ批判
同氏は、砂糖を絶って体重を10キログラム減らした経験から、「パラドックス」研究を覆すための取り組みを続けている。同研究に用いられた砂糖摂取量の減少を示す食糧農業機関(FAO)のデータについて、信頼できる数字に基づいておらず、意図的に偽造されていると主張する。著名な栄養学者ローズマリー・スタントン博士も同氏の主張を支持。研究に使われたデータは明確な結論を引き出すには十分ではないとしている。
■自分の摂取量は?
双方の対立を受けて7月、同研究内容について、ニュサウスウェールズ大学の教授が実施した独立調査の内容が公開された。調査では、シドニー大教授らに対し、研究方法に落ち度は無かったとした上で、ロバートソン氏が指摘した問題点を明確に説明した新たな研究を発表することを勧めている。
砂糖が健康に害を与えるかどうかについては意見が分かれるが、ひとまず自分がどのくらいの砂糖を摂取しているのかを知ることは大切だ。今年6月から導入が始まった新食品ラベル「ヘルス・スター・レーティング」では、今回初めて、表示項目に砂糖が含まれるようになった。砂糖の含有量はこれまで、特に規制されていなかった。

■「甘さ」目立つ基準
また、連邦政府が発表する栄養指針「オーストラリアン・ダイエタリー・ガイドラインズ」は最新の2013年版で初めて、砂糖について、塩分と同様に摂取量を制限するよう明記した。業界基準であるオーストラリア食品協議会(AFGC)による指針「デーリー・インテーク・ガイド」では大人1人当たりの砂糖の摂取量は90グラム。オーストラリア人の1日の平均的な砂糖消費量は茶さじ20杯(100グラム)とされており、日本人の同69グラム(農林水産省調べ)の約1.5倍だ。
ちなみに、世界保健機関(WHO)の新指針では、1日のカロリー摂取量のうち、砂糖の占める割合を10%未満に制限し、できれば同5%に抑えるよう呼び掛けている。肥満度が正常な人で換算すると1日当たり茶さじ6杯(30グラム)未満となり、なんとAFGCの基準の3分の1。オーストラリア基準の「甘さ」が際立っている。
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