第3回 夏のごちそうは天然エビ

オーストラリアというとオージービーフが有名ですが、西オーストラリア(WA)州に来ておいしいと思ったのは、実は魚介類です。オーストラリアの美しい海を思い浮かべれば不思議なことではありませんが、ちょっと意外でもあります。パースは新鮮な魚介類が手に入りやすく、今回はクリスマスの時期から多く出回るエビ(プローン、Prawn)を取り上げます。簡単に調理でき、家族など大人数で食べるのに良い一品として重宝されているようですね。

イセエビのような大きいものはロブスター、クルマエビやブラックタイガーのようなやや小さめのエビがプローンです。ちなみにシュリンプは、小エビや芝エビのようなさらに小さいエビのこと。パースでよく売られているのは、バナナエビ(Banana Prawn)、キングエビ(King Prawn)、ブラックタイガー(Tiger Prawn)の3種類で、WA州ではキングエビが一番多く採れるそうです。

WA州のエビの主な漁場は北部沿岸で、キングエビとブラックタイガーはシャーク・ベイから北、バナナエビはさらに北にあるエクスマスよりも北の沿岸で採れるそうです。そして驚きなのは、どれも養殖ではなく、「天然モノ」なことです。

■バナナエビ VS キングエビ

3種類のエビの中でも、私が一番多く購入するのは、味もよく価格の安いバナナエビ。身が大きくて食べごたえがあり、料理に入れても見栄えがします。味はエビ独特の甘みが強く、食感は柔らかめ。サッとゆでて殻をむいてサラダに入れるだけでも豪華な一品になります。バナナエビは東南アジアやインドでも採れるらしく、オーストラリアのレシピ本では、東南アジア料理風に味付けしたものをよく見かけますね。ちなみにレシピ本で「green prawn」と書いてあるのは、エビの種類ではなく、「生のエビ(=Uncooked)」という意味だそうです。

もう一つがキングエビ。バナナエビよりも小さ目で、尾や手先が青みががっているのが特徴です。バナナエビほどの甘みはありませんが、クセが少ないエビらしい味というか、奥深いうまみを感じます。プリッとしたはじけるような食感が好きです。

夏にクリスマスを過ごしたオーストラリア。パースのクリスマスも暑く、酸味があってスパイスの効いているものが食べたくなりますが、この時期のエビ料理のレシピでは、タイ風の甘酸っぱ辛いタレをつけてバーベキューで焼く、というものをよく見かけます。ブログで私のレシピを紹介しているので参考にしてくださいね。

■「持続可能」なエビ漁業

WA州でのシャーク・ベイとエクスマスでのエビ漁業ですが、昨年に「海のエコラベル」とも呼ばれる海洋管理協議会(MSC)認証を獲得したそうです。MSCは持続可能な漁業を推進するための国際機関で、同2カ所のエビ漁業は、「環境や生態系に配慮したエコな漁業が行われている」と認められたことになります。

この2カ所以外でも、WA州のエビ漁業は、持続可能な漁業を行うため、漁場の一時的な閉鎖などエビを取り過ぎないようさまざまな決まりがあります。各漁場では、どの種類のエビをどの網でどれだけ採ったか、毎晩記録を付けることになっており、そのほかにもいろいろな調査が行われてるそうです。

日本にいた頃は、値段が高い印象もあり、そんなにエビを食べたいとは思いませんでした。パースに来てからは、エビはグンと身近な食材になりました。どこに行っても、地元産の生エビを計り売りで買うことのできる恵まれた環境です。

 

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投稿者プロフィール

名取 知衣子
1973 年東京生まれ。2013 年から西オーストラリア州・パースに在住。夫、ハイスクールに通う長女、プライマリースクールに通う長男の4人家族。日本と異なる生活に試行錯誤するうちに、オーストラリアの豊かな食事情に興味を持つようになる。オーストラリアのローカル食材を使って日本人が手軽に楽しめる家庭料理を研究中。レシピをブログ「パースで手作りざんまい(http://perth-zanmai.com/)」で公開している。