第1回 オーストラリア産の“安心”を買う
かつては「世界の工場」と呼ばれ、いまや「世界の市場」へと大きな変身を遂げた中国。世界の企業が、
世界最大規模の農産物輸入国である中国市場を狙っている。食の安全が叫ばれて久しく、「海外からの輸入食品は安全」と考える人が多い中国で、オーストラリアやニュージーランド産の食品はどのような立ち位置にあるのか。どのようなルートで販売され、どんな食品が人気なのかを探る。【山田珠世】

■地元スーパーでも輸入牛を販売
上海市郊外にある、地元を中心に店舗展開するスーパーマーケットが先ごろ、リニューアルオープンした。
店内を改装し、レイアウトも大きく変更。これまでより商品の見やすさが大きく改善されたほか、品ぞろえも豊富になったのが特徴だ。
自宅から近く、普段からよくこのスーパーを利用する上海人女性は、改装したての店内に入って驚いた。
冷凍肉類を販売するコーナーに、オーストラリア産の牛肉が並んでいたからだ。サーロインにリブロース、牛カルビ、牛スネ、牛テールなど種類も豊富。「このスーパーで、外国産の牛肉が手に入るようになるなんて」。女性は思わず目を見張ったという。
■牛肉輸入、5年間毎年2倍に拡大
これまで、主に外資系のスーパーマーケットなどで販売されていた外国産牛肉が、地元のスーパーに進出している背景には、生活レベルの向上や食の西洋化に伴い、自宅やバーベキューなどでステーキや焼き肉を食べる中国人が増えていることがある。国産牛肉への信頼度の低下や、ここ数年の国産牛価格の上昇に伴い、輸入牛肉の購入を選択肢に入れる人が増えてきた。
商務部によると、中国の過去5年の牛肉輸入量は、年間約2.2 倍の勢いで拡大を続けている。中でも1位、2位を占めるのはオーストラリア産とニュージーランド産。MLA豪州食肉家畜生産者事業団によると、オー
ストラリアから中国への牛肉輸出額は、過去5年で約34 倍に拡大している。
中国人の友人らは「安全面などを考慮すれば、価格は高めでも外国産の購入を考える」と口をそろえる。
日本では“安くて固い”イメージが強いオージービーフも、中国では“牛肉界のグッチ”と呼ばれているほどだそうだ。
■価格の逆転現象
中国では飼育可能な肉牛数の減少を背景に、国産牛の価格が2012 年下半期ごろから急上昇を始めた。価格が外国産牛肉を上回る勢いで上昇したため、外国産の輸入量はますます増加。ついには国産牛の販売価格が外国産を超える“逆転現象”が起きているという。
上海市内のある外資系小売り大手で販売されているオージービーフは、1枚220 グラムのサーロインが47.25 人民元(1人民元=約19 円)、リブロースが60 人民元。一方、山東省青島市産のサーロインは500 グラム当たり128 人民元、リブロースも同価格で、特級サーロインが274.3 人民元。冷凍と生肉の差はあるが、価格だけで見れば国産より安い。
先のローカルスーパーでは、豪州産の冷凍サーロインが450 グラムで44.8 人民元。リブロースは57.8 人民元とさらに安い価格で売られており、外国産が売れるのも納得できる。
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