第10回 NZでみそ作り!「ミソマイト」をお試しあれ
ニュージーランド(NZ)で最も晴れの日が多いという南島北部のネルソン。ここで、発酵食品に魅せられた日本人がパンなどに塗るみそ「ミソマイト(Misomite)」を作っている。NZの食卓に欠かせない発酵食品マーマイト(Marmite)をもじったもので、マーケットへの出店や口コミで人気が高まっている。アーバン・ヒッピー(Urban Hippie)の創立者、前田武人(たけひと)さんに話を聞いた。

前田さんがNZ行きを決めたのは28歳のとき。日本料理の板前として10年間の経験を積んだが、「全く違うことをしたくなった」ことから当時ビザを取得しやすかったNZにワーキングホリデーとしてやってきた。海外行きを決めた背景には、日本では違う業界に転職すると、前の業界から「落ちこぼれ」と見られてしまうこともあったという。NZでは旅はもちろん、アウトドア好きなこともあり、ホーストレッキング(乗馬旅行)場での勤務やハイキングガイド、スキー場でのバス運転手、医療通訳などをしながら6~7年過ごし、天気の良いネルソンにシェフとして落ち着いた。
■大豆農家との出会い
ネルソンでは、以前から感じていた発酵食品への興味から、伝統的なパンであるサワードウ(sourdough)や、キムチ、ビール作りに時間を割くようになった。みそ作りはその延長で始めたもの。前田さんはいずれ起業したいと思いながらも、シェフとしてのレストラン経営は時間に縛られ、サーフィンなど好きなアウトドアを楽しめる時間が取れないことがネックとなり、踏み切れないでいた。
その後、隣町で大豆を栽培している人と知り合い、ビジネスとしてのみそ作りが現実味を帯びた。NZに来た当時と比べてスーパーマーケットにも日本の食品が並ぶようになった時代の変化や、2011年2月に発生したクライストチャーチの地震で、国内唯一のマーマイト工場が被災し生産ができなくなったことがきっかけで、「ミソマイト」としてみそを売り出してみることにしたという。保存食品であるため売れ残りの無駄がないことも強みとなった。
ミソマイトは甘味の強い白みそで、お湯をかければそのままみそ汁ができる。事業を始めたのは2年半ほど前だが、売り上げは伸び「手ごたえが出てきている」(前田さん)。生産は個人で行っており、みその生産量は全体で年10トン。これが残らず売れる。首都ウェリントンで開かれる展示会に年2~3回出品しているほか、地元で毎週土曜に開かれるマーケットや、インターネットを通じて販売している。健康食品店からの問い合わせも来るようになった。
■理想は60歳でのリタイア
手狭になったという現在の拠点の近くで、小川の流れる1エーカーほどの土地を購入するのが今後の目標だ。みその増産という目的もあるが、わさびやしいたけの栽培もしたいという。今は20リットルのバケツで作っているみそを200リットルのワイン樽で作りたいとも思っている。近くにワイナリーが多いため、中古のワインだるを安く購入できるそうだ。
アーバン・ヒッピーは、前田さんの友人が「名付け親」。ネルソンという都会に住みながら、家庭菜園や鶏の飼育、パンやビールを手作りするなどヒッピーのような生活をしていると、前田さんを称した言葉だ。現在43歳の前田さん。60歳にはリタイアしてNZ生活を満喫できるのが理想、と夢を語ってくれた。
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