第39回 世界で半分の食料が廃棄!?

食料の廃棄に関するなんとも衝撃的な報告書が発表された。イギリス機械学会(IMechE)がまとめた報告書「Global Food Waste Not, Want Not.」によると、

◆生産された食料の30~50%(12億~20億トン)は人々の口に届かない!!

◆英国で生産された野菜の約30%が、見た目の基準に満たさないために収穫されない

◆欧州と米国では、消費者が購入した食料の最大半分を廃棄している─という。

だが、食料だけではない。

◆消費者にまで届かない食料を生産するために、約5,500億立方メートルの水が浪費されている

◆2050年までには、食料生産での水需要が年間100兆~130兆立方メートルに達する。これは現在人間が使用している淡水の総量の2.5~3.5倍に当たり、世界で水不足が深刻化する可能性もある

同報告書では、
◆国連食糧農業機関(FAO)は先進国の政府に対し、発展し始めた途上国に対し、工学の知識やノウハウのデザイン、適切な技術を移転するプログラムの実施を促す◆急速に発展している途上国の政府は、ゴミを最小化するという思考を現在計画・設計・建設されている交通インフラや保管施設に組み入れる◆先進国の政府は、消費者の期待を変えるためにの政策を考案・施行する。見た目で食料を廃棄する小売りや、必要以上のものを買って廃棄する消費者の行動をやめさせることを推奨している。

こうして食料の損失・廃棄をなくすことで、60~100%多い食料を提供することができ、同時に土地やエネルギー、水資源の使用量を少なくできると主張している。同報告書によると、オーストラリアは穀物貯蔵時におけるロスが0.75%とかなり少ない一方、西アフリカに位置するガーナでは貯蔵時にトウモロコシの半分が損失したこともある。

■先進国と途上国の差

国連は21世紀末までに、人口が30億人さらに増えると予測しており、食料廃棄の管理に対する迅速な対応を呼びかけている。FAOは、1月下旬に米国で開催される持続可能な食品サミットで、サプライチェーンでどのように食料ロスが発生するかを発表する予定だ。途上国では通常、不適切な貯蔵と配送過程でロスが発生する。一方、先進国では小売りや消費者レベルでの廃棄が大半となっている。

上記のニュースを知って、思い出したことがある。以前、長野県の冷涼な地域で、レタスの山が何カ所もできている畑に遭遇した。農家の方に理由を聞くと、需給調整のため廃棄するよう促されているという。農家は山1つでいくらという、交付金をもらえる仕組みになっているようだ。現場でこうした状況を目の当たりにすると、世界の食料危機という課題が、遠い国で起こっていることにすぎないと考えてしまう。

これまで食料の“生産”部分に焦点が当てられていたが、この報告書が起爆剤となり、世界レベルでの食品サプライチェーンの見直しが図られるようになってほしい。

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