ことの葉「鳥生肉」

筆者のオーストラリア人のパートナーは、生肉を細菌の温床とみなしている。ユダヤ教の食の基準「コーシャ」の食文化で育ってきたためか、食品や食器の扱いには人一倍厳格だ。筆者が生肉を調理する際には、パートナーの機嫌を損ねないように針の穴を通すような職人技が求められる。

まず、生肉に触れた物は、すべて直後に熱湯消毒の対象となる。はしや食器、包丁などは一度でも生肉に触れれば、他の用途には使えない。流し台の中でも別に置かれ、給湯器で沸かした湯をその都度全体にかけたうえで、シンクでも熱湯を用いて入念に洗浄する。その後、生肉に触れた手や食器を洗剤でしっかり洗ってから、一連の作業がようやく終わる。

こうした食文化の下で育ったパートナーは、自身が一度も食中毒になったことがないと、たびたび誇らしげに語る。しかし、共に過ごし、同じ食事を取っていたにもかかわらず、筆者だけが食中毒になった理由を彼女は説明できないはずだ。(花男)

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ウェルス編集部

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