第2回 自尊心くすぐるオージービーフ

■自宅でステーキを食す

上海人の友人夫婦が、中国で人気のチャットアプリに、「夕食は自宅でオーストラリア産のリブロース!」とコメントと写真をアップしていた。自宅近くにある小売り大手の仏カルフールで購入したという。
友人は「昔は外国産の牛肉はそう簡単に手に入らなかったが、今では外資系スーパーであればほとんど置いてある」と話す。彼女が普段からよく利用するカルフールでは、オージービーフ2枚が100 人民元(1元=
約19 円)程度で買える。品質面でも安心できることから、ステーキとして食べる場合はオージービーフを購入するようにしているという。
子どもはまだいない友人夫婦は、週末になるとちょっとした豪華な食事をとる。この日も2人でステーキを食べながら、ワインを1本空けたのだそうだ。外資企業で働く友人や、自営業の中国人の友人らの中には、こうやって自宅でステーキを焼いたり、海鮮をグリルしたりしてささやかなぜいたくを楽しむ人も増えている。

■飲食店での消費量も急増か

外食の際にステーキや焼き肉を食べることを選択する人も多い。上海市の飲食店関係者は「レストランやホテルでの外国産牛肉消費量も急拡大している」と明かす。上海人の友人らも「自宅で料理することもあるが、
とりわけステーキは、レストランなどプロに任せたほうが味ももっとよくなると思う」とし、外食する際に牛肉を食べることの方が断然多いと話す。
一般的に、ステーキなどとして牛肉を食べる習慣がそれほど根付いていない中国では、自分で料理するとせっかくの味が台無しになってしまうと考える傾向にある。もともと中国では頻繁に外食する習慣があり、自宅よりレストランで食べる方が雰囲気も出ると感じる人も多いことも、飲食店での牛肉消費増の背景にあるのかもしれない。

■外国産をアピールするレストラン

中国では、外国産牛肉と書いてあるだけで飛びつく消費者も多い。外国産牛肉を使用した料理の存在をうたうレストランやホテルが少なくなく、メニューに産地を明記することで、高級感や安心感を出そうとしていることがよく分かる。
外国産は品質面の安全が保証できると考える傾向にある上、高級感も加わることから、子連れでも顧客との会食でも、恋人との食事にも文句なしに利用できるからだ。
中でも多いのがオーストラリア産。オランダの金融機関、ラボバンク・ネザーランドによると、中国の2013 年の牛肉輸入量は前年比3.8 倍の29 万7,000 トンだった。このうちオージービーフは市場シェア47%で首位。2位はウクライナ(25%)で、3位はニュージーランド(18%)となっている。
すべての食材は国産が最高だと考える日本とは大きく異なり、外国産に安心感を覚える中国。日本では、レストランチェーンが「牛肉を外国産に変えた」と言えば、コスト低減が目的とみなされ、消費者は味が落ちることを心配するが、中国では店側も外国産をアピールすることで「いい食材を使っている」という宣伝になるのだ。

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