ドライフラワー

生まれて初めてドライフラワーなるものを作ってみた。「だって、朝焼けが、とってもきれいだったから……」ではなく、妻の誕生日に贈ったバラの花がしおれてきたのを見て、子どもが悲しんだからだ。むろん根底には、大枚はたいた花束を再利用しようという貧乏根性があった。

ネットで調べたところ、シリカゲルを使うと色が鮮やかになるようだが、買いに行くのも面倒なので、昔ながらの自然乾燥法を採用した。葉を間引きして、直射日光が当たらない風通しのよい場所につるしておくだけ。思ったよりも簡単で、拍子抜けした。

ところであるサイトによると、バラの花言葉は本数によって変わるそうだ。1本なら「ひと目ぼれ」、3本なら「愛しています」、99本なら「永遠の愛」、108本なら「結婚してください」となるとか。

待てよ、百八つ? 煩悩の数と一緒ではないか……。なぜか深く納得し、つるされたバラをぼんやり眺める中年男の後ろ姿こそ悲しけれ。(短吉)

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