湖城の窓から「優良企業、あり〼」
商売で肝要なのは、安く仕入れて高く売る事だと思いますが、今回トップ記事に取り上げた酪農業界では、正反対のことが発生しています。
今年3月に加工大手のブラ(Bulla)・デアリー・フーズが先陣を切って発表した生産者乳価は、乳固形分1キロ当たり8豪ドル(1豪ドル=約97円)でした。前シーズンは6.9豪ドルだったので、約16%の引き上げです。ところがその後、ライバル達は値をつり上げ、6月末には各社9豪ドルが普通になり、中には10豪ドルを超える価格も提示されたようです。
一方、農業省のデータによると、2021/22年度の牛乳生産高は48億豪ドルです。一方、チーズや粉乳などの乳製品の輸出高は34億豪ドル。そんな重要な輸出市場では、地政学的な問題で輸出価格が軟調です。
これらが組み合わさり、高く仕入れた商品を安く売らざるを得ない、という最悪なあんばいになってしまった訳です。
ところがオーストラリアには、そんな厳しい状況を上手に対処した企業もあります。その一つはa2ミルク。中国事業が好業績を上げ、利益は5割以上増加しました。また、品不足に悩む米国からいち早く輸出許可を取り付けたバブスも好決算で、純損失は前年度の7,480万豪ドルから1,140万豪ドルに大幅縮小。粗利益率は32%にも達しています。
こうして見ると、付加価値を付けた商品や、高価値市場に進出した企業は、相応の利益を得ているようです。消費者から価格以外の要素で選ばれるよう、コモディティー化を徹底的に避けることが、肝要なのかもしれません。(編集長)
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