第48回 水資源の不足と人口は関係ない?
オーストラリアの人口が2,300万人を超えた。豪政府統計局(ABS)は、2056年までに4,200万人、2100年には6,200万人に増加すると予測している。これまでオーストラリアの人口が増加しない背景には水資源の不足があるとみられていたが、現在では、不足しているからといってそれが人口が増えない要因にはならないとの考えが主流になってきているようだ。
実は、オーストラリアでは人口1人当たりにすると豊富に水がある。ただ、オーストラリアの人口は南東部と南西部に集中しており、この地域では一人当たりの水消費可能量が世界の他都市と比べて平均か、それを下回る量しかない。また年によって水資源量の差が大きいことも特記すべきことだ。
■都市で水を自給
メルボルン大学は2011年に、人口増加を抑える要因であると考えられてきた水資源が、実際にはある一定まで人口が増加しても十分に供給することができるとする研究を発表している。今後人口が増加すると考えられている主要都市では、需要管理によって水利用量の削減に成功している。また海水の淡水化や地下水の利用、再生水などで新たな水資源も増加しているという。将来的には、都市で利用する水資源は近場で確保する傾向が強まるかもしれない。
現在オーストラリアのかんがい農業で、国内外の6,000万人が恩恵を受けている。水使用量に占める農業の割合は50~70%だが、かんがい用水の効率化などを図ることで、農業向けの水資源が人口増加を抑制することはないとみられている。
また1960年代から行われてきたオーストラリア北部のオード川かんがい事業では、豊富な水資源を利用したにもかかわらず、大幅な人口増加にはつながらなかった。水資源が豊富だからといって、人口が増加するということでもないようだ。
この研究では水資源について、人口の多さより、人々がどう水資源を利用するか、が重要だと主張している。これに加え、豪経済開発委員会(CEDA)の報告書でもはっきりと、シドニーとメルボルンを除いて2100年に水資源の有無が問題になることはない、と断言されている。
つまり、水の使い方をコントロールすれば、農業を拡大しながら、人口も現在の2倍以上に膨れ上がっても大丈夫ということだろう。
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