第36回 公正な対価だけでないフェアトレード(下)

前回に引き続き、フェアトレード(FT)を推進するフェアトレード協会(FTAANZ)のFTプログラムコーディネーターとして働くリンダ・チャルマーズさんの話を紹介する。
豪州とニュージーランド(NZ)でコミュニティーにおけるFTの推進を手掛けているリンダさんによると、現在、豪州とNZでFT商品を取り入れ、推進するFTコミュニティは計500団体を超える。自治体、大学、学校、宗教団体、職場の5グループがあり、豪州では8つの自治体、NZでは3つの自治体がFTタウンと認証されている。たとえばシドニーでは、マンリー市やライカート市など。
一方、NZでは一つの自治体が市の全域を占め、オークランドやウエリントン全域がFTタウンとなっている。世界的にみると、FTタウンの数は1,000カ所を超える。
FTコミュニティーで一番多いのは職場だが、その次に宗教団体が多いのは、日本人としては興味深い。以前、筆者はドイツにFTの状況を視察しに行ったことがあるが、ドイツでは教会が地域レベルでのFT普及で非常に強い影響力を持っていると感じた。豪州やNZで宗教を信仰している人はそれほど多くないという印象ではあるものの、「人を助ける」という精神を分かち合う場所でFTが積極的に取り入れられているように思う。
■卸売りとオンラインが好調
ちなみに、日本ではFTが「顔が見える貿易」とも呼ばれており、各地でさまざまな形態の小売店が誕生するなど、消費者により近い形での商品販売が展開されているように思う。
一方、リンダさんによると、豪州では賃貸料が高すぎて店舗での販売は縮小傾向にあるという。例えば、以前シドニーで6カ所の店舗を構えていたオックスファムは、現在シドニー大学近郊のブロードウェイショッピングセンターのみで展開している。
では豪州で成功しているFTの事業体とは?それは卸売りやオンライン販売のようだ。また出店料が安いマーケットでの販売も行われているとか。こうしてみると、豪州やNZと、日本でのFTの普及にはかなりの差があることが分かり、何とも面白い。
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