第11回 ダーウィン郊外編
1.今回紹介する道
スチュアートハイウエー(Stuart Highway、A1)とアーンヘムハイウエー(Arnhem Highway、36)
(ダーウィン郊外の主要道路と周辺で行われている農業を紹介したい。)
2.私が走ったルート
ダーウィンよりスチュアートハイウエーを50キロメートル南下し、リビングストン(Livingstone)走行。その後、アーンヘムハイウエーを走行した。
(1)ダーウィン~スチュアートハイウエー
スチュアートハイウエーは、大陸の中央を縦断するように、ダーウィンからアリススプリングを通り南オーストラリア州ポートオーガスタに至る道である。
ダーウィン市街地を離れた後の本道は、まばらにある樹林地帯と開かれた草原地帯(牛の放牧風景も見える)をひたすら直進していく単調な道になる。その中で目を引くのは高速で過ぎ去る大型トラックで、生きた牛を積んだトレーラー台車を3台連結している。ニューサウスウェールズ州でも生きた牛を輸送するが、せいぜい2両編成までだ。本道のように直線でかつ走行車両が少ない道路だからこそ、3両編成ができるのだろう。
(2)ヌーマナーとリビングストン
ダーウィンから40キロメートルほど進んだヌーマナー(Noonamah)に到達すると、道脇に輸出前の生体牛を一時収容する施設が見えてくる。多くの牛が、輸出に耐えうる健康状態や体重になるまで収容されている。牛たちは最終的に、生きたままダーウィン港で船に乗せられ、インドネシア等アジアや中東諸国に輸出されるという(同港からジャカルタまで船便で5日程度)。なお、同施設の牛の多くは高温に強いブラーマン種系で、寒冷な英国等の品種であるアンガス種等とは違った牛である。
さらに10キロメートルほど進むと、リビングストンに着く。ここにはダーウィン周辺で唯一の「食肉加工施設」がある。建設に時間が掛かり過ぎてその実現性を疑われたが、今年完成した。同地は農業インフラ(輸送、かんがい、加工施設)が乏しいため、本来持つ生産性を発揮できていない問題がある。
(3)アーンヘムハイウエーへ
ダーウィンからスチュアートハイウエーを35キロメートル進むと、カカドゥ国立公園につながるアーンヘンハイウエーの入り口がある。この道の入り口より3キロメートル先には野菜やマンゴーの生産ほ場が広がっている。
北部準州の農産物ではマンゴーが有名で、それ以外にはニガウリ、オクラなどの野菜栽培がある。農場周辺を散策していると、楽しげな音楽と共にアジア系の若者が農作業にいそしんでいた。穀物生産とは違い労働集約型農業である野菜・果樹栽培は多くの労働者を必要としており、ワーキングホリデーの若者も重要な労働資源となっている。
3.実際に走って
北部準州は農業上潜在性があるとされるが、乏しいインフラ、巨大消費地からの距離(特に果樹・野菜等)などの課題を抱える。資源ブームでダーウィン周辺は徐々にインフラが整備されているが、同地の農業は今後、どのように発展していくのだろうか。
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