オセアニア農業の歩み「ギリギリの青果業界」

今週のトップ記事では、燃料価格の上昇がオーストラリアとニュージーランドのサプライチェーンを直撃していることを取り上げました。そこで浮き彫りになったのは、オーストラリアの青果業界が以前から抱えていた構造的な脆さです。

脆さは、生産・事業コストを最終価格へ反映できない「価格転嫁力の弱さ」にあります。もともと薄利多売の傾向が強い同業界は、人件費などが上昇する中で、中東紛争以前から極めてタイトな経営を強いられてきました。

例えば、農林水産省(DAFF)による輸出規制サービス(ERS)費用の引き上げに対しても、一部の品目で採算が合わなくなると強く反発していますが、その背景には、こうした「余裕のなさ」があります。

特筆すべきは、昨年度、青果・ナッツ等の輸出額が過去最高を更新した一方で、生産者の実質収益が減少傾向にあるという「負の乖離」です。川上から川下へ至るサプライチェーンのどこかで過度な負担が蓄積され、持続可能性が損なわれつつあることを示しています。

日本市場において、オーストラリア産の青果は「高品質で手頃」という信頼を得ていますが、その背景にある経営環境は、堅調な食肉や酪農業界のそれとは対照的なようです。日々の食卓に身近な青果業界の持続的な成長をいかに支援していくべきか、考えさせられます。(本田歩)

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ウェルス編集部

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