シドニーで福島の酒試飲会、輸出拡大へ
今月26日、オーストラリアのシドニーのレストランで、福島の日本酒を紹介するイベント「Fukushima Sake Tasting Session」が開催された。福島県の内堀雅雄知事に加え、飲食関係者やインフルエンサーなど約80人が参加し、高品質な福島の酒を味わった。【ウェルス編集部】
福島県は、日本酒の品質を競う全国新酒鑑評会で毎年多数の銘柄が最高賞である金賞を多数受賞し、「日本酒王国ふくしま」の名を誇る。今年の鑑評会でも、金賞を含む入賞酒は30銘柄に上り、都道府県別で最多となった。
内堀知事は、「福島県の日本酒の蔵元は震災復興のトップランナーだ。福島が誇る逸品を味わい、日本酒の美味しさを広げてほしい」と挨拶した。
■地元酒造は販路拡大に意欲
出展したのは、県の公募で選ばれた曙酒造(会津坂下町)、栄川酒造(磐梯町)、豊国酒造(古殿町)の3蔵。各蔵が持ち寄った3種の酒は、味わいや度数に幅を持たせ、参加者が飲み比べながら香りや旨味の違いを体感できる内容となった。生産地や製造工程に関する質問も多く寄せられ、日本酒への関心の高さがうかがえた。
曙酒造と豊国酒造はオーストラリアへの輸出実績がないが、販路拡大に意欲を見せた。約200年の歴史を持ち、地元産にこだわった酒造りを行う豊国酒造の矢内賢征代表は、「オーストラリアからの観光客は非常に多く、親日の人が多い。弊社の酒を知ってもらえるチャンスだと感じている」と話した。
同酒造は、福島のブランド米「美山錦」を100%使用した日本酒、一歩己の蔵元として知られている。
■食と酒の相性を実感
会場では、刺身や寿司に加え、福島の郷土料理「イカニンジン」、喜多方の醤油ラーメン、桃のデザートなども振る舞われ、食と酒の相性を実感できる構成となっていた。
フードインフルエンサーとして活躍する男性は、「福島の酒は初めて飲んだ。酒との付け合わせについてもおすすめを教えてもらい勉強になった」と話した。最も好みの組み合わせは、脂身の少ないヒラマサの寿司と、透明感が特徴の純米火入れの天明だとした。
天明を造る曙酒造の鈴木孝市社長は、「天明は旨味や酸味のバランスがとれた酒で、苦みやえぐみがないのが特徴だ。フレッシュな魚の味を邪魔せず、旨味でフォローすることができる。肉や野菜との相性も良いので、多くのシーンで楽しんでいただける」と話した。
アルコールのインフルエンサーで、近々福島県を訪れる予定の男性は、「訪日前に、日本酒の知識をつけたいと思って参加した。精米歩合や発酵温度で味が大きく変わることを知れたのが今日の一番の収穫だった。福島でも日本酒をたくさん楽しみたい」と話した。
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