湖城の窓から「農機具は交渉の道具にも」

トランプ米大統領が就任当初に示していた関税政策を実行に移しています。4日にはメキシコとカナダに25%の関税を発動し、中国にも10%の追加関税を課しました。同大統領はさらに、自国の農業保護の強化姿勢を明確にし、農産物にも関税を導入する意向を表明しました。3カ国は即座に報復関税を発動し、貿易摩擦は激化する様相を見せています。

オーストラリアは米政権に対し、外交努力を続けるとしています。交渉で連邦政府は、現在の貿易不均衡や自由貿易の利点を主張しているとみられますが、農機についても触れられたようです。

現在、オーストラリアが輸入する農機の約30%が米国製で、総額は約60億豪ドルといわれます。オーストラリアが米国に報復関税を導入しない限り、米国製農機の価格や輸入動向に変動はなさそうです。しかし連邦政府は、オーストラリアの農業生産者が米国の農機を活用して生産した農作物が、米国市場に還流していると指摘しているようです。米国の関税がオーストラリアの生産者に打撃を与えれば、米国の農機メーカーの売り上げにも累が及ぶという主張です。

ただこうした議論が関税適用の回避につながるかは不透明であり、生産者は政府の交渉に望みをかけつつ、輸出先の多様化に再度動き出しています。(編集長)

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