第41回 年間約100日は海外!あづまフーズの小野寺啓太さん

先月シドニーで開催されたオーストラリア最大級の食品展示会ファイン・フード・オーストラリア。このイベントに三重県に本拠を置く水産加工メーカーで、元祖「たこわさび」で知られるあづまフーズが出展した。ブースに立つ同社貿易部の小野寺啓太・副部長に話を聞いた。

今年31回目を迎えた同展示会だが、あづまフーズが出展するのは7年前に続いて2度目。数年間を置いたものの、オーストラリアでの再出展を決めた理由を小野寺さんに聞くと、「アジアが中心の売り先を他地域にも増やす方針を(あづまフーズが)掲げていることと、これまであまりオセアニアに力を入れてこなかったこと」があるという。

てっきり今年1月に発効した日豪経済連携協定(EPA)が再出展のきっかけかと思ったが、実際は「関税引き下げによるメリットはあまりない」とのこと。オーストラリア市場ではむしろ、検疫などの輸入規制や市場サイズ、また、類似した市場のない独自性などがデメリットとなってビジネスを難しくしているという。

今回の展示会には、日本で加工済みの冷凍した巻きずしの具を持ち込んだ。解凍して手軽に使え、味も安定して管理できるため、人件費の高いオーストラリアの巻きずし店で需要があると見込む。ちなみに海外出張の多い小野寺さんをして、「どの国にもロール(巻き)ずし店はありますね」と言わしめるほど、巻きずしは世界食として普及しているようだ。

■英語生かしたい

取材に訪れた同展示会2日目の手ごたえを聞くと、熱気あふれるアジアと比べておとなしいものの、今回は「商品やコンセプトを知ってもらえれば」と割り切り、将来の発注につながる顔合わせの機会と考えている。オーストラリア市場で5年後に目指すのは、自社商品のみで冷凍コンテナ(10トン)を埋めることだ。

大学で英語を学んだ三重県出身の小野寺さんは入社10年目。入社時にはあづまフーズの海外事業は米国だけだったが、今では日本に加えて米国やカナダ、中国に生産拠点を持ち、英国に販売会社を置く。オーストラリア向けにもワカメの茎やサラダ用の海藻などを販売している。

実は小野寺さんは入社前、食品に対して強い興味を持っていたわけではなかったそうだが、海外展開を進める企業で英語力を生かしたいとの気持ちが、あづまフーズへの志望動機になったそうだ。現在は主に日本の工場で生産した食品の輸出に携わる部署に所属するが、中国やカナダでの事業にも関わるなど、業務は多岐にわたる。

今、小野寺さんの仕事のモチベーションとなっているのは、年間100日程度を海外で過ごす生活と、顧客の声を直接耳にする経験を基に商品開発を提案し、会社や顧客に喜ばれることだとか。

■自慢は開発力

輸出に力を入れる水産加工メーカーはあづまフーズだけではないが、小野寺さんによると、同社の強みは商品やアイデアの「開発力」にある。新しいものをテーマに、食べたことのないものを常に作り出そうとするパワーがあるという。会社の看板商品はたこわさびだが、個人的にいち押しなのは、今回オーストラリア向けに持ち込み、自らも開発に関わった冷凍巻きずしの具。商品誕生に関わっていない他商品と比べて、思い入れが違うそうだ。

 

 

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