第31回 ヘルシー食品でも要確認?砂糖の過剰摂取に警鐘

世界第3位の砂糖輸出国であるオーストラリア。現在、国際価格の下落に加え、砂糖の取り過ぎによる健康被害が問題視されるなど内憂外患の困難に直面している。「I Quit Sugar」など砂糖断ち支援サービスが登場しているほか、新食品ラベル「ヘルス・スター・レーティング」では初めて、表示項目に砂糖が含まれるようになった。なぜ砂糖への批判が高まっているのか、3月に封切られたオーストラリアのドキュメンタリー映画「ザット・シュガー・フィルム(That Sugar Film)」を見た。

食べ物の害を訴えるドキュメンタリーといえば、監督兼被験者がファストフードを1日3食、30日間食べ続けた米国の「スーパー・サイズ・ミー」(2004年)が頭に浮かぶ。ザット・シュガー・フィルムも、監督兼被験者が体を張り、1日茶さじ40杯分(映画では1杯=4グラムで換算)の砂糖を摂取する食生活を60日間続けた。

ザット・シュガー・フィルムでおもしろいのは、肥満などを引き起こす「悪者」脂肪の摂取量を減らし、その分を「無害の」砂糖に置き換えるやり方。被験者は野菜やタンパク質などは、実験前と同じように摂取する。また、砂糖の摂取は菓子類からではなく、低脂肪で健康に良いとされる加工食品を食べることで行う。運動も実験前と同じ量を続ける。ちなみにスーパー・サイズ・ミーでは、体に悪いであろうファストフードだけを毎食食べ、被験者は運動もやめている。

ザット・シュガー・フィルムの実験では脂肪摂取量を減らし、「健康に良い」ものを食べたにもかかわらず、かえって不健康になってしまうという皮肉な内容だ。砂糖の過剰摂取が体に与える影響だけでなく、普段口にする加工食品にいかに多くの砂糖が含まれているか、そして、砂糖を多く含む食品が低脂肪を理由に「ヘルシー」と冠され、販売されていることに警鐘を鳴らしている。

■カロリーではなく栄養素

ザット・シュガー・フィルムの被験者は実験の結果、体重増加のほか、肝機能の低下、腹回りに10センチメートルの脂肪、急激な気分変動や、集中力持続期間の短縮などの症状が現れた。実験中の被験者のカロリー摂取量は1日2,300キロカロリーと、実験前と同じだったことから、健康維持にはカロリーの数字合わせではなく、摂取する栄養素を考えたメニュー作りが大切だと映画は呼びかける。ちなみにカロリーの摂取内訳は実験前が、タンパク質26%、脂肪50%、炭水化物24%で、実験中はタンパク質18%、脂肪22%、炭水化物60%だった。

砂糖にはグルコース(ブドウ糖)、ラクトース(乳糖)、スクロース(ショ糖)などがあり、最近では、自然界でもともと少ないはずのショ糖が大量に食事に取り込まれるようになったことに問題があるとの声が上がっている。また、黒糖も白砂糖も、全ての糖分について健康に与える影響に違いはないそうだ。

■新表示をじっくり確認

砂糖が一方的に悪者というわけではない。ただ、知らないうちに砂糖を過剰摂取してしまうのは問題だ。スーパーマーケットで販売されている食品の8割には砂糖が含まれているという。ザット・シュガー・フィルムでは消費者に、まず食品表示を見て、砂糖量を確認することを勧めている。世界保健機関(WHO)は砂糖摂取の新指針として、成人が1日に取る砂糖を茶さじ6杯分の25グラム程度に抑えることを呼び掛けたが、通常のコカ・コーラの330ミリリットル缶には35グラムの砂糖が含まれている。砂糖量を抑えた新商品「コカ・コーラ・ライフ」が登場したのはそのせいもあるのだろう。

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