湖城の窓から「NZの挑戦者への支援」
ニュージーランド(NZ)で2021年に鳴り物入りで開業したオンラインスーパー、スーピーが破綻しました。スーピーは、農家育ちの創業者ボール氏が18カ月かけて国中の生産者を訪問し、仕入れ先を選定。見た目は従来のスーパーの基準から外れるような野菜でも仕入れ、「ファーマーズ・マーケット」スタイルの販売を目指しました。
コンシューマーNZの調査によると、実際にスーピーの販売価格は安く、競合の価格を23%も下回るとの結果も出ています。成長すれば大手のウールワースNZとフードスタッフスのライバルとなり、複占が問題となっているNZの食品小売市場に風穴を開けると期待されていました。
破綻の直接的な原因は、まだ明らかになっていません。ただし高金利に伴う資金繰りが、問題の一つと指摘されています。同社は開業資金をオークランドのベンチャーキャピタル、アイスハウスから250万NZドル(1NZドル=約89円)、昨年は390万NZドルをクラウドファンディングで調達していました。スタートアップは十分な顧客を得るまで数年間は赤字体質が見込まれます。スーピーの場合、顧客数が10万人を超えた段階で黒字転換するとの計画でした。しかし現在の顧客数は6万人。更なる顧客を得る前に、資金が底を突いてしまった形です。
コンシューマーNZの代表者は、「スーピーは根深い複占問題への果敢な挑戦者だった」と称賛しています。食品小売業界への参入は多額の資金が必要だと判明した現在、次の挑戦者を支援する仕組みが必要だと思われます。(編集長)
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