長野の食と歴史、豪観光客に訴求 オーストラリアのメディアを招聘
インバウンド需要の拡大を背景に、長野県が「食」と「歴史」を切り口とした体験型観光の高度化を進めている。白馬や野沢温泉などのスノーエリアに長期滞在する訪日客などから「長野ならではの食や文化を体験したい」とのニーズが高まっていることが背景。県は滞在中の消費拡大や将来的な県産品の輸出増加につなげたい考えだ。【ウェルス編集部】
観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2024年に県内に宿泊した外国人延べ宿泊者数は233万9,720人と過去最高を更新した。こうした中、県の酒造組合は1月、オーストラリアの大手旅行業界メディアの記者を長野市に招聘(しょうへい)した。海外メディアでの発信や交流サイト(SNS)での拡散効果を通じ、観光振興を図る狙いがある。
■地酒で訴求、駅を玄関口に
長野県は全国で2番目に多い約80カ所の酒蔵を有する地酒の産地で、1月13-19日には長野駅構内に飾り樽52個を積み上げた高さ2メートル超のモニュメントを設置した。初日の鏡開きのイベントはすべて英語で行われ、訪日客が足を止めて日本酒を味わう姿が多く見られた。駅ビル内で地元の酒と食品を販売する「信州くらうど」内のバーでは、県産日本酒の飲み比べセットが人気で、インバウンド客の増加とともに売り上げが伸びている。
食の分野では、日本で初めて「おいしさ」を基準に認定した「信州プレミアム牛肉」を訴求する。脂肪交雑(霜降り)に加え、オレイン酸含有率を基準に据えたブランドで、全国農業協同組合連合会(JA全農)がプロデュースする長野駅前の「和牛焼肉 信州そだち」では、脂が重すぎず量を食べられる点が海外記者からも高評価を得た。
また戸隠エリアでは、忍者体験とそば文化を組み合わせた体験型観光が注目されている。現役忍者の指導による手裏剣や吹き矢の体験、その忍者一家が営む山口屋では手裏剣型天ぷらが載った「忍者そば」が写真映えするとして人気を集める。英語対応のそば打ち体験や歴史ある宿坊を活用した鷹明亭辻旅館でそば会席を出すなど、地域全体で受け入れ体制を整えている。
■精進料理で訪日需要取り込み
善光寺では、精進料理や護摩祈願、写経といった宗教体験もインバウンド客の関心を集めている。善光寺に39ある宿坊の1つ「淵之坊」では、肉や魚、乳製品を使わない精進料理を提供しており、招聘された記者が宿泊した日もオーストラリアから別グループが滞在していた。海外では環境保護や動物愛護、宗教的理由などから菜食を選ぶ「ビーガン」層が拡大しており、精進料理はこうした層との親和性が高い。評判を聞きつけて海外から宿泊する客も多いという。
長野県は、地酒や和牛、精進料理といった食文化を観光の中核に据え、体験価値の向上を図る。食を通じた記憶に残る体験が、滞在の長期化や再訪、さらには海外市場での県産品需要の掘り起こしにつながるかが注目される。
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