第13回 NZで驚きの税制、羊のゲップに課税?
ドーハでは今月8日まで国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)が開催されるなど、近年環境問題について議論される場が増えています。多くの場合、人間活動に伴う温室効果ガスの増加が焦点となりますが、実は家畜も温暖化の要因となっているのをご存じでしょうか。
ニュージーランド(NZ)で飼育されている牛は、NZ人口の2倍以上に当たる1,000万頭、さらに羊は10倍の4,000万頭で、放牧地は国土面積のおよそ半分を占めています。気候にも恵まれ、生産される生乳や食肉、また羊毛などの9割が世界各国に輸出されています。ところが近年、環境問題に絡み、NZの畜産農業が問題になっています。
NZ草地農業研究所アグリサーチによると、NZの温室効果ガス排出量の内訳は、◆二酸化炭素:40%◆メタン:44%◆亜酸化窒素:14%——で、このうちメタンと亜酸化窒素の大部分は、家畜が放出しています。2つ足すと約60%で、つまりNZから出る温室効果ガスの半分以上が、家畜から出ていることになります。しかも二酸化炭素に比べメタンは23倍、亜酸化窒素は310倍も温暖化に影響を与えるといわれています。
これに頭を悩ませたNZ政府は2003年、温室効果ガス削減に向けた研究費を捻出するため、家畜農家に対し飼育頭数に応じて課税する案を提出しました。要するに、家畜が出すゲップやおならに課税するというのです。
課税額は牛1頭に年間72セント(約48円)、羊1頭に年間9セント。これによる平均的な農家の負担は、年間300NZドルほどです。
しかしNZの家畜農家は激しく反発。政府のあるウェリントンでは大規模なデモ行進が行われ、最終的には6万4,000 人の課税反対署名が提出され法案は否決されました。
課税には失敗したものの、NZ政府はその後、年間800万NZドルの予算をかけ、家畜の排出ガス削減の研究に取り組んでいるとか。各国ではお国事情に合わせさまざまな税金が導入されていますが、「ゲップ税」は家畜大国NZならではと言えそうです。
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