オセアニア農業の歩み「日系投資の落とし穴」
今週のトップでは、日本製紙の子会社がビクトリア(VIC)州を原木供給契約で提訴したことを報じました。同州の裁判所が環境活動家の訴えを認め、それに応じて州政府も原生林伐採の廃止時期を2024年へと大きく前倒ししたことは、経済よりも環境を優先した姿勢の象徴と言えます。
しかしその代償は大きく、地域経済と子会社のオパールに深刻な影響を及ぼしています。一方、州政府は異業種転職支援を行いましたが、短い移行期間しか与えられずに苦境に陥る林業従事者が多く、懸念が広がりました。
また、連邦政府が2035年に温室効果ガスを2005年比で62―70%削減する目標を掲げたことについて、気候変動局(CCA)は老齢林伐採停止や再伐採ペース半減を含む提言を行いました。林業を狙い撃ちにした施策が、またも地域社会を揺さぶっています。
気候変動の脅威が迫る中、環境問題は重要なトピックですが、拙速な方針転換が地域や日系企業に犠牲を強いる現実は重いです。クイーンズランド(QLD)州の石炭、西オーストラリア(WA)州のガスなど、日系企業の投資に影響を与える州政府の方針転換が近年増えているだけに、裁判の行方に注目したいと思います。(本田歩)
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