湖城の窓から 「もちろん、嫌がられますよ」
今週号のトップ記事は、ビクトリア州ミルデュラでブドウ農場「Budou Farms」を経営する松崎絢子さんのインタビューです。
未曾有の高コストの中、機械や薬品を使えばもっと効率的に生産できるのに、あえて手間ひまをかけるのは品質を高めるため。「私たちが一番働いている農場オーナー」と松崎さんは笑います。人件費の高いオーストラリアで日本の消費者が求める品質を達成するには、オーナー自身が農場できめ細かい仕事をすることが必要だそう。松崎さん曰く、「この辺りのオーナーは皆、電話で手配することが仕事だと思っているはず」と。松崎さんの小学生の娘さんも、今ではトラクターの運転ができるそうです。ただオーナー頼りでは成長に限りがあるのも事実。更なる拡大に向け、信頼できる農学者の雇用を決めました。
またBudou Farmsが特に気を配るのは出荷後の温度管理。リアルタイムでモニターを続け、温度が上がっていると物流会社に即電話をします。「文句を入れる形なので、もちろん、嫌がられますよ」と松崎さん。本来、出荷後の温度管理は物流会社の範疇です。でもそこまでするのは、日本の顧客に対し生産者としての責任があるためです。
そんな松崎さん、来月から本誌で特集記事を連載します。オーストラリアでの農業や日本への輸出におけるあれこれをご紹介します。お楽しみに。(編集長)
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